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東京高等裁判所 昭和55年(行ケ)74号 判決

事実によれば、「MAX」「マツクス」という略称が本件商標の登録出願前より被告の業務にかかるインスタントコーヒー及びレギユラーコーヒーを表わすものとして需要者取引者間に広く認識されていたという事実はないものといわなければならない。

そうであれば、「被請求人が本件商標をその指定商品に使用するときは、請求人あるいはこれと関連あるものの取扱いにかかる商品であるかのように商品の出所について混同を生ずるおそれがあるというべきである。」との審決の判断は、その前提を欠き、誤つたものといわなければならない。

よつて、本件審決の違法を理由にその取消を求める原告の本訴請求を正当として認容する。

〔編註〕 本件における審決理由の要点および審決取消事由は左のとおりである。

本件審決の理由の要点

本件商標の構成、指定商品及び登録出願、設定登録の各日は、前項記載のとおりである。

これに対し、請求人(原告)ゼネラル・フーヅ・コーポレーシヨンは、米国に本社を有し、世界各国に支社又は技術提携会社を有する食品の著名な製造会社であるところ、わが国においても、請求人会社の製造にかかるインスタントコーヒー及びレギユラーコーヒーに登録第一八八二二三号商標である「MAXWELL HOUSE及び家の図形から成る商標」(旧第四四類「茶、コーヒー、ココアその他本類に属する商品一切」を指定商品として、大正一五年三月二二日登録出願、昭和二年一月三一日設定の登録。別紙第二参照。)を付した商品が戦前より輸入販売されていたものであるが、戦後輸入量の増大に伴いコーヒーの需要者取引者間で上記商品が著名になるにつれ、「MAXWELL HOUSE及び家の図形から成る商標」は「MAX」「マツクス」と略称して取引されるようになり、その結果、「MAX」「マツクス」の商標は、本件商標の登録出願前より、請求人の業務にかかるインスタントコーヒー及びレギユラーコーヒーを表わすものとして需要者取引者間に広く認識されていたものであることが認められる。

そうであれば、本件商標は他人の業務にかかる商品を表示するものとして広く認識されている商標である「MAX」「マツクス」を要部として成るものであつて、被請求人が本件商標をその指定商品に使用するときは、請求人あるいはこれと関連あるものの取扱いにかかる商品であるかのように商品の出所について混同を生ずるおそれがあるというべきである。

したがつて、本件商標は、商標法第四条第一項第一五号の規定に違反して登録されたものであり、同法第四六条第一項第一号の規定によりその商標登録を無効とすべきものである。

本件審決の取消事由

本件商標の構成、指定商品及び登録出願、設定登録の各日が審決認定のとおりであることは争わないが、本件審決には、次のとおり、これを違法として取消すべき事由がある。

審決は、「わが国においても、請求人会社の製造にかかるインスタントコーヒー及びレギユラーコーヒーに登録第一八八二二三号商標である「MAXWELL HOUSE及び家の図形から成る商標」を付した商品が戦前より輸入販売されていたものであるが、戦後輸入量の増大に伴いコーヒーの需要者取引者間で上記商品が著名になるにつれ、「MAXWELL HOUSE及び家の図形から成る商標」は「MAX」「マツクス」と略称して取引されるようになり、その結果、「MAX」「マツクス」の商標は、本件商標の登録出願前より、請求人の業務にかかるインスタントコーヒー及びレギユラーコーヒーを表わすものとして需要者取引者間に広く認識されていたものであることが認められる。」というが右認定は誤りである。

「MAX」「マツクス」という略称が本件商標の登録出願前より被告の業務にかかるインスタントコーヒー及びレギユラーコーヒーを表わすものとして需要者取引者間に広く認識されていたという事実はない。

したがつて、この認定を前提とする「被請求人が本件商標をその指定商品に使用するときは、請求人あるいはこれと関連あるものの取扱いにかかる商品であるかのように商品の出所について混同を生ずるおそれがあるというべきである。」との審決の判断も失当である。本件商標は被告の商品であるかのように商品の出所について混同を生ずるおそれがあるものではない。

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